身体を温める食べ物、冷やす食べ物
毎日の食事で食べる物は、私たちの体をつくる材料でもあります。
食物が体質や環境に合ったバランスのとれたものであれば、健康の維持・増進も可能ですが、逆に合わないものやバランスを欠いたものであれば健康に支障をきたし、体調不良につながることにもなりかねません。
食物による体への作用として大きいものの一つは、体を温めたり冷やしたりすることです。
それぞれ体質や季節、ライフスタイルにあったものを偏ることなく、バランスをとって食べることが大切です。
体を温めたり冷やしたりする食物の特徴や見分け方をご案内します。
|食べ物の陰陽|
世の中あらゆるものが相反する勢力・性質から成り立っています。
「光・影」「暑い・寒い」「高い・低い」「重い・軽い」「男・女」のようにです。つまり「陰」と「陽」です。
食べ物においても「陰性」と「陽性」に性質を分けてみることができ、「陰性食品」が体を冷やすもの、「陽性食品」が体を温めるものになります。
「陰性食品」と「陽性食品」にはそれぞれ「強弱」があり、「陰性食品」と「陽性市区品」のどちらでもない中間の食物は「間性食品(中庸食品)」となります。
日頃から冷やしたり温めたりする食品の特性を理解して、バランスをとっていくことが大切です。
|陰性食品と陽性食品の見分け方|
生育する気候や環境から見分ける
気温が低い国では体に熱を蓄える必要があるので、体を温めてくれる果物や野菜が育ちます。
反対に、気温が高い国では体内の熱を下げるため、体を冷やす食べ物が育ちます。
季節になれば、体に必要なものを用意してくれる自然は偉大ですよね。
土の上で育つものか、下で育つものか見分ける
冬に地中で育つ根菜類のように、地中で育つものは体を温め、夏はトマトやキュウリなどのように、地上で育つものは体を冷やしてくれます。
発酵食品かどうかで見分ける
味噌や醤油、納豆、漬物などの発酵食品には体の代謝を活発にする酵素が入っているので、発酵食品は血行も良くし体を温めてくれます。
発酵食品として代表的なものは、味噌や納豆、醤油、漬物、チーズなど。
色で見分ける
赤やオレンジ、黄色など暖色系の野菜や果物は体を温め、白・青・紫などの寒色系の食べ物は体を冷やします。
ただし、色は赤で暖色系だけど体を冷やすトマトのような例外もあります。
成分で見分ける
ビタミンBやCは体を冷やし、ビタミンAやDやEは体を温めます。
また、水分の多いものは体を冷やし、水分の少ないものは体を温めます。
味で見分ける
味では、塩や醤油を使った塩辛さを感じるものが体を温め、砂糖を使った甘いものや酢を使った酸っぱさを感じるもの、
香辛料などの辛いもの、化学調味料を使ったものが体を冷やすということが分かっています。
料理をする際には、素材だけでなく調味料にも意識を向けるといいでしょう。
|食物陰陽表|
身体を温める陽性食品
根菜類(人参・自然薯・山芋・蓮根・ごぼう・かぼちゃetc)
塩・味噌・醤油などの調味料
肉・魚(動物性)
梅干し
身体を冷やす陰性食品
葉野菜(ほうれん草・春菊・小松菜・白菜)
夏野菜(トマト・きゅうり・なす)
南国果物(バナナ・レモン・パイナップル)
砂糖・酢・とうがらし・こしょう
アルコール・ジュース・コーヒー・紅茶
どちらでもない間性食品
玄米
黒色海藻
間違えやすいもの
体を温めたい時に、温かい食べ物や飲み物を摂れば体が温まるとおもいがちですが、必ずしもそうとは限りません。
一時的に体が温まっても、日本酒のようにむしろ体を冷やしてしまうこともあるのです。
唐辛子やコショウなどの香辛料も、発汗した後に体が冷えることから陰性食品です。
また同じ砂糖でも寒い北海道で育つ甜菜(砂糖大根)から作られる甜菜糖は体を温めます。
また、サトウキビからできている黒砂糖は、未精製でビタミンやミネラルが残っているため、
体を冷やす作用は白砂糖に比べて緩やかといわれています。
もっとも体を冷やすものは食品だけではない⁉
化学調味料や化学添加物は体を冷やします。
また食品ではありませんが、化学薬品も著しく体温を下げるものと考えられます。
あまり神経質になりすぎても良くない面もありますが、陰性食品に偏り過ぎて体調不良を起こす方が比較的多いようです。
調味料も含め季節にあわせた「陰性食品」「陽性食品」を組み合わせることで、「陰陽」バランスのとれた食事になります。
食べ物の性質を良く知ることで、日頃から健康維持に役立ていきましょう。
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