偉大な豆、大豆の健康・美容効果とは⁉
古くから私たち日本人に身近な食品である「大豆」。日本の食卓には、実にたくさんの大豆食品が並んできました。
豆腐・おから・湯葉・煮豆・油揚げ・厚揚げ・納豆・凍み豆腐・もやしなどの伝統的な食品から、みそ・しょうゆなどの調味料、大豆油に至るまで、地方独自のものも含めれば数えきれないほどの種類になるでしょう。
今、世界的にヘルシー食として注目を集めている和食においても、大豆抜きでは語ることはできません。
大豆が昔から食されてきたのは、そのおいしさだけではなく、豊富な栄養成分による健康・美容効果も併せ持っていたからともいえます。そんな優れた健康・美容効果を持つ偉大な豆「大豆」について、まとめてみました。
|大豆と日本人|
大豆は、日本人の食べ物のなかでも、主食の米に次ぐ大切なものです。
日本人は、奈良時代から米と大豆をセットにして食べてきました。
水田では米を作り、畦道では大豆を作って食生活の柱にしてきたのです。
大豆に含まれているたんぱく質や脂質などの成分は、そのままでは消化吸収されにくいのが欠点でもあります。
そこで、大豆を多食する地域では、昔からさまざまな加工技術を駆使して大豆を食べてきたのです。
大豆は縄文時代や弥生時代の遺跡からも出土していて、「古事記」(712年)や「日本書紀」(720年)にも、大豆が明記されています。
また平安時代の「本草和名(ほんぞうわみょう)」には、於保末女(オホマメ)とあり、「和名類聚抄(わみょうるいじゅしょう)」(平安中期の漢和辞書)には万米(マメ)と記載されています。
またその後も大豆と表記してマメとよんでおり、長らくの間、豆(マメ)といえばもっぱら大豆のことを指していました。
江戸時代でも、大豆はマメと呼ばれ、その種類を万米(マメ)、久呂万米(クロマメ)、すなわち黄大豆と黒大豆に大別して、黄大豆は主に味噌や醤油を作るのに、黒大豆は主に薬に用いられていました。
いまでこそアメリカが世界有数の大豆生産国ですが、アメリカへは、黒船のペリー来航(1853年)とともに持ち帰ったのが最初だそうです。
|大豆を多食する地域は長命の傾向|
私たち日本人に限らず、世界を見渡してみても、大豆を多食する地域では、心臓病や脳卒中・高血圧になる人が少ないことが分かっています。
日本国内をみても、死因第一位のがん(大腸がん、前立腺がん・子宮がん・乳がん・卵巣がん)においても、大豆をよく食べる地域ほど罹患する率が低い傾向にあります。
大豆およびその加工品を食事でとる習慣のない地域では、残念ながらがんをはじめ、血管に関わる病気も多く、動脈硬化、心筋梗塞、脳卒中、高血圧、糖尿病、高脂血症、を引き起こし、比較的短命の傾向があるのです。
また、大豆には、血流や血管・骨やホルモンバランスを若々しく保つ働きもあるため、美容にも大いに効果を発揮してくれる食品です。
このように、大豆は、心臓病やがんなどの生活習慣病の予防や美容に顕著な効果をもたらす類まれな食品といえます。
大豆に優れた食効があるのは、体の老化を抑える働きを示す多種多様な成分が、実に豊富に含まれているからです。
|豊富な栄耀成分が健康・美容効果を発揮|
1 大豆には良質なたんぱく質が豊富
大豆の大切さの一つは、良質なたんぱく質が多量に含まれているところにあります。
では、大豆にたんぱく質はどのくらい含まれているのでしょうか。
牛肉(和牛)のたんぱく質の含有量は11~20%ですが、同じ水分量にして比較した場合、大豆のたんぱく質の含有量は16~17%なのでほぼ同じです。
このことからも、昔から大豆が「畑の肉」と呼ばれてきたことがうなづけます。
また大豆のたんぱく質には、必須アミノ酸がバランスよく含まれていて、アミノ酸スコアも肉と同等の100なので、大変に良質です。植物性たんぱく質の中でもトップクラスの高さといえます。
さらにこのたんぱく質には、血圧やコレステロールの上昇を防ぐ働きがあることもわかっています。
これに対し、とくに牛肉などの動物性たんぱく質の場合、脂身のまったくない赤身肉はアミノ酸スコアも100と高いのですが、
脂身のある部分は69とガタンと落ちてしまいます。しかも脂身はコレステロールを含み、動脈硬化の大敵です。
日本人の主食である米には、アミノ酸のリジンやスレオニンといった必須アミノ酸が不足しています。
しかし和食のすばらしいところは、この不足を大豆製品でカバーしていることといえます。
大豆には、リジンやスレオニンがたっぷり含まれているので、ご飯にみそ汁の組み合わせはまさに理想的な組み合わせなのです。
また、大豆たんぱく質には、太りにくい体をつくる、肥満を予防するといった効果もあり、リバウンドなしのダイエット食品にもなります。
動物性たんぱく質より、たんぱく質を大豆からとると、脂肪の代謝が促進されて、効率よく脂肪を燃焼させる働きが高いといえます。
トリプシン・インヒビターはたんぱく質の一種で、すい臓の働きを活発にして糖尿病を改善してくれます。
2 大豆油
大豆の油には不飽和脂肪酸が多く、人間の体内では合成することができず、食品から摂取しなければならない必須脂肪酸のリノール酸とα-リノレン酸が約5:1~7:1の割合で含まれています。
リノール酸は、血中のコレステロールを低下させる力があり、動脈硬化を予防してくれます。
リノレン酸は血液をサラサラにしたり、アレルギー症状の改善に役立ちます。
大豆油は、リノール酸とα-リノレン酸を同時に摂取できる油として有用なのです。
また大豆レシチンというリン脂質は、脳や皮膚の細胞に欠かせない成分で、脳細胞に作用してボケ防止に役立ちます。
血液中のコレステロールを低下させる働きで、高脂血症にもよく、動脈硬化予防し、肝臓の細胞を活性化して脂肪肝を解消してくれます。
3 ビタミンB群
ビタミンB群も多く、とくにB1とB2が多いのが特徴です。
大豆のビタミンB1は、「精神ビタミン」ともいわれ、B1が不足すると神経に炎症が生じて、精神的な障害(憂鬱・イライラ・消極的・不安定)があらわれてしまいます。
またビタミンB1は、エネルギーを作り出すための糖代謝に関する働きをしています。ビタミンB1が不足すると、エネルギーを作るのが遅くなり、疲労物質である乳酸ができ、この乳酸が、神経や筋肉の状態を悪くさせてしまいます。
またビタミンB2が不足すると、粘膜や目に影響があらわれます。
口の縁が切れて、口内の粘膜の一部が壊れ、強い痛みをともなう口内炎を起こします。
唇の上部が赤くなり、口から舌、鼻、肛門にいたるまで、皮膚と粘膜の境から粘膜までが炎症を起こすこともあります。
目への影響は、目の焦点がなんとなくぼけたり、外の光をまぶしく感じたり、充血したり、涙がでやすくなったりします。
これらの症状は、ビタミンB2を十分に補給することで、たちまち回復していきます。
またビタミンB2は、脂質の代謝に関与する働きをします。
食事で脂肪を多くとると、B2を消費するので、不足しやすくなるので、ビタミンB2不足が続くと、
脂肪の代謝が悪くなり、肥満になりやすくなります。続いて動脈硬化にもつながりやすくなるので、不足しないようにしたいビタミンです。
逆にビタミンB2は、多くとると食物の消化吸収がよくなって、肝臓の分解する働きもよくなるので、
ビタミンB2は、多すぎるくらいとった方が、健康によいといえます。
小児は成長と組織の発達のために、妊活の方も妊娠や授乳のためにも多くとる必要があります。
4 ビタミンE
ビタミンEには酸化防止作用があり、体内の細胞を酸化ダメージから防ぐ働きがあるので、「若返りのビタミン」といわれています。
また酸素の浪費を抑えて、血液の流れを改善する働きもあるので、脳卒中や心臓病、しもやけやあかぎれのような血行障害からくる疾患の予防、そして脳の血流もよくなるので、血管を若く保って脳の破損をくい止めることで、ボケ防止にも効果があり、生活習慣病や老化の予防に働いてくれます。
またビタミンEをより多くとることにより、脳の疲労が早くとれ、集中力や精神力も高めてくれます。
5 サポニン
大豆のえぐみ成分であるサポニンには、大豆のビタミンEとともに、体内の過酸化脂質(酸化された毒性の強い脂肪分)を排除して、
血中コレステロールを減少させ、動脈硬化を防ぐ働きがあります。
6 ビタミンK
納豆を食べると納豆菌が腸内でビタミンKを生産します。Kは肝臓で血液凝固物質プロトロンピンの生成に必要なビタミンです。
ビタミンKが不足したり、働きが妨げられると、血が固まらなくなってしまいます。
大豆は、完熟した豆としてではなく、枝豆としてゆでて食べることで、乾燥大豆にはないビタミンCやカロチンを摂ることができます。
また大豆は煮る前に水に浸しておくと、ビタミン類が全般的に増加して、またやわらかく煮えるのが早いので、煮豆の時は水に浸しましょう。
7 カリウム
大豆にはカリウムが多く、ナトリウムが少ないので、腎臓からのナトリウムの排泄をうながして、血圧降下作用があります。
大豆による血圧降下は医薬品のように過剰に下がらず、安心して下げることができます。
8 鉄分
大豆の鉄分は、ほうれん草の鉄分よりも吸収がよく、鉄欠乏性貧血の予防に働いてくれます。
9 カルシウム
カルシウムは、骨や歯の構成成分になるほか、神経興奮の抑制や血液凝固作用、筋肉の収縮などに関わる働きをしています。
10 マグネシウム
マグネシウムは、カルシウムやリンとともに骨を構成したり、補酵素として控訴の働きを助けたり、神経の興奮の抑制、
血管を拡張させて血圧を下げたり、エネルギー産生をスムーズに行う働きをしてくれます。
11 亜鉛
亜鉛は、たんぱく質やDNAの合成に必要な栄養素で、胎児や乳児の発育や、味覚を感じる味蕾細胞や免疫反応にも関与しているほか、
貧血、食欲不振、生殖機能の低下、認知機能障害、神経感覚障害、皮膚炎、下痢、脱毛、低アルブミン血症など、様々な症状の予防に働いてくれます。
12 銅
貧血予防に欠かせないミネラルで、免疫力を高めたり、エネルギー精製や鉄の代謝、活性酸素除去、神経伝達物質の生成、動脈硬化の予防など、
様々な働きがあります。
13 マンガン
マンガンは、骨や軟骨の発育や、傷を治りやすくしたり、インスリンや甲状腺ホルモンの合成に関する働きに必要な成分です。
14 大豆オリゴ糖
多糖類のため消化吸収されにくく、血糖値を上げにくくする糖質です。
腸内のビフィズス菌の増殖を促進し、腸内環境を整えてくれます。
15 食物繊維
大豆には食物繊維も多く、総量で17%(水溶性1.8%、不溶性15.3%)含まれ、ゆでたものでも7%もあります。
便秘の解消や、ガン予防、コレステロールの吸収制限に働きます。
食物繊維やオリゴ糖は、腸の善玉菌を増やして便秘を解消したり大腸がんを防ぐ効果も期待できます。
16 美容効果抜群の嬉しい成分「イソフラボン」
数多い大豆成分の中でも、注目を集めているのがイソフラボン。
イソフラボンは、大豆が発芽する芽の部分に豊富に含まれていて、植物エストロゲンとも呼ばれ、女性ホルモンのエストロゲンによく似た働きをします。
エストロゲンとは、女性ホルモンの一種の卵胞ホルモンのこと。このようなエストロゲンを善玉エストロゲンといいますが、
動物性のエストロゲンは乳がんなどを引き起こすので悪玉エストロゲンといわれます。
なかでも、この善玉エストロゲンが多いのが、豆腐になります。
大豆が長寿食であるといわれたり、精進料理実践者に長寿者が多いというのは、エストロゲンの代用をするイソフラボンのせいなのかもしれません。
大豆を多食すれば、女性はもちろん男性も心臓病を防ぐことが期待できます。
またイソフラボンは、骨粗しょう症やがんの予防にも効果があることが分かっています。
イソフラボンの主な効果
① 血圧を低下させる
② 乳がんの予防、前立腺がんの予防、ほとんどのがんの死亡率を低下させる。
③ 女性ホルモンと似た働きがあることから、肌の潤いを保つ働きがある。
④ 血液中の悪玉コレステロールを減らし、バランスを整える。肥満を予防する。
⑤ 大豆に含まれているビタミンEとの相乗効果で、体全体を若々しく保ち、老化を防ぐ作用がある。
⑥ 更年期障害の症状を抑える、骨量の減少を抑えて、骨粗しょう症の発生を遅らせ、あるいは増加させる。
|凝縮した「大豆の発芽エキス」がたっぷりの寿元(じゅげん)|
発芽玄米やブロッコリーのスプラウドのように、発芽するときに、そのビタミンやミネラルをはじめとする成分は、何倍にも増加します。
大豆も発芽する際には、栄養成分が何倍にも増え、元々含有している3代栄養素(たんぱく質・脂質・糖質)は、発芽する時のエネルギーとして使われ、ほとんどがビタミンCと食物繊維からなるもやしを経て、また新たな子孫を残すために成長していきます。
その発芽時のエッセンスを凝縮した「発芽エキス」が、大豆健康食品「寿元(じゅげん)」にはたっぷり含まれています。
毎日の健康維持・増進にお役立てください。
大豆健康食品「寿元(じゅげん)」
|日頃から大豆を食べましょう|
多種多様にあるマメ類の中でも、私たち日本人や主食と最も結びつきが深いのが、大豆です。味噌、醤油、豆腐、納豆などの調味料や加工品は、日本人にとって、ごく身近な必需品ともいえるものでしょう。
食物繊維をとり除いて消化吸収をよくした豆腐や豆乳、大豆を発酵させてたんぱく質をアミノ酸に分解するなど成分の分解を促し、消化吸収をよくした納豆やみそ・しょうゆです。
おからは豆腐を作るさいの残りのカスを固めたもので、食物繊維が大変豊富です。
湯葉は豆腐を作る材料となる豆乳を温めたさいにできる表面の膜で、たんぱく質やアミノ酸がたっぷりと含まれています。
イソフラボンをはじめとする、これらの有効成分が、大豆という一つの食品に凝縮されています。
昔から大豆を多食してきた私たち日本人も、大豆のすばらしさを改めて見直して、日頃から積極的に食べることをお勧めいたします。
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